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仮想通貨マイニング始めようと思ったきっかけ
パソコンのセキュリティサポートや修理復旧の仕事を長くやっていて、その言葉自体は昔から聞いていました。しかし、「仮想通貨マイニング」のやり方や仕組みを私は、まったく知りませんでした。
きっかけは YouTube でやり方や収益について、分かりやすく説明している動画をたまたま見た事です。月1万円ほどなら投資も少なく、簡単に稼げるような印象を受けました。
GPU (グラフィックボード) マイニングの影響で高性能なグラフィックボードはずっと高騰しています。受注したパソコンの部品選びで、いつも苦労させられています。
「毎月のお小遣いの足しに」という気持ちと、通貨マイニングの知識を得るために、少し試してみようと思い決断しました。
念頭に置いたのは、「費用面をなるべく抑えること」、「いつでも撤退できるように価値が下がらない部品を調達すること」です。
仮想通貨マイニングを始めるためにかかった費用
グラフィックボード以外の部品については、修理チェック用で余っていたものを利用しました。新たに購入した部品は、GPU のみとなり、特に用意したものとしては、「電力量計」のみです。
エコキーパー EC-05EB 1,818円
パソコンの仕様
下調べしてみたところ、部品数は少ない方が消費電力が少ないのです。高収益なことから光学ドライブやケースファンなどのコネクタを外しました。一番気を使ったのは、CPUの性能と電源BOXです。CPUは高性能であればあるほど消費電力が大きく、向いていません。電源BOX は変換効率の高いものを利用しました。
グラフィックボードにかかった費用
消費電力量に対して、マイニングの効率が良い物を選び、そのなかから安く購入できるグラフィックボードを選んだところ、「GeForce RTX3060」という結論になりました。価格も通販で70,000円程でした。当初の計算では7か月ほどで部品代を捻出し、その後は収益として得られる計算でした。
仮想通貨マイニングを実際にやってみて分かった事
いざグラフィックボードをのせ、マイニングを始めてみて判明した想定外の出来事が幾つかあります。
想定外の出来事 その1
グラフィックボードが LHR を解除できないものであった事です。LHR とはローハッシュレートと言って、仮想通貨マイニング用に使わせないように、その機能の部分だけ性能を強制的に落とすものです。
しかし、購入前の情報では、あるドライバを利用すれば解除できるという事を知っていました。実際に購入してみると、この解除を出来ないように対策をされたグラフィックボードだったのです。対策がされた物が出回り始めたばかりで、その情報も広く出回っていない時であり、知るのが遅れてしまいました。
ちなみに、LHR でのマイニングでは性能が約 1/2 に抑えられていました。
それでも知識として得られるものもある事だけを頼りに、マイニングは続行しました。
当初の予測と実際の結果
導入前では、一日あたり、320円のマイニングができる計算でした。しかし半分の160円ほどしか採掘できないものでした。
想定外の出来事 その2
マイニングはイーサリアムという通貨を処理しましすが、その報酬として得られるのは「ビットコイン」です。始めた当初は1ビットコインの価格が650万円でしたが、実際に採掘を進めていると価格の変動が予測を超えて起こります。始めてすぐに400万円ほどまで下落してしまい、採掘しても採掘しても下落分で一向に収益が増えない状態になりました。
想定外の出来事 その3
実はこの3つめ問題が一番の関門です。当初では、7か月でグラフィックボードの代金が捻出できる想定でした。しかし、半分の性能での収益は現時点では、とても低い状態です。マイナスではありませんが、グラフィックボードの代金を賄うには7年以上という年数がかかる計算になります。
しかし、収益性の高いグラフィックボードに変えれば問題を回避できるのではないかと考えていました。
しかし、ある出来事があり、その考えを改める結果になりました。それは、マイニング開始3週間にてグラフィックボードから「異音」がするようになったことです。
マイニング時にグラフィックボードのファンはフル回転しているわけではありません。負荷がかからないようにセーブする設定にしています。それなのにたった3週間で異音です。
パソコンケースの向きを変える事で異音は収まりましたが、想定外の出来事です。24時間稼働させて数年もの間、何事も無く動作するとは到底考えられません。
グラフィックボードには保証がついていますが、マイニング利用は対象外となります。
グラフィックボード代金の回収に、最低、何か月もかかる時点で破綻していると悟りました。
想定外の出来事 その4
原油高・物価高からくる電気代の値上がりです。私が使用している電力会社は、現在それほどの値上げはありません。しかし、値上げにふみきっている電力会社がニュースなどで聞かれるになりました。このまま原油高が続くのであれば、電気代値上げは避けることができない事象だと容易に想像できます。
仮想通貨マイニングを行う上でのリスク
先にも述べたリスクは、「ビットコイン通貨下落のリスク」「グラフィックボード故障のリスク」です。それに加えて、パソコンの部品を選んでいるとあるリスクに気が付きました。それは火災のリスクです。通貨マイニングではちょくちょく火災になりそうになった報告が上がります。
しかし、なぜそのようになるのかは知りませんでした。今回パソコン部品を選ぶことで分かったのは、ケーブルが対応していないものが販売されていることです。グラフィックボードを複数枚搭載する場合、通常の電源ではコネクタが足らないのです。
そこで変換ケーブルなるものを探します。アマゾンで数百円で売られていますが、ケーブルの仕様が詳しく説明されていません。実際には大きな電力に対応できるものでなければならないところ、十分耐えうる仕様ではないものを利用することで発火の危険性が出てくるのです。
マイニング中に発火する事故のほとんどはケーブルの仕様によると思われます。また、複数枚のグラフィックボードを搭載するという事は、予想以上の熱を発します。何が起こるかは予測不能な領域です。
運用上最大のリスク
もう一つ大きなリスクがあることも判明しました。それは「ハッキング」のリスクです。仮想通貨マイニングを行っているパソコンがハッキングされてしまうと、同じネットワークに存在するパソコンやサーバーを攻撃されてしまう可能性がああるのです。
また、外部のコンピューターを攻撃する踏み台などに利用されるリスクもあります。マイニングソフトのインストール時には、「ソフトに悪意のあるものが含まれる可能性があること」を了承したうえで利用する必要があるのです。
「何が起こっても責任は取らない」という内容が表示されます。個人であればそれほど重要なデータはないかもしれませんが、法人や事業主が余ったパソコンを利用して、「ちょっとやってみよう」という代物ではない事が分かりました。
仮想通貨マイニングを続けるのかどうかの決断
日本でマイニングを行うという事は、ギャンブルに近いと感じました。今後ビットコインが値上がりした場合には、結構な収益になります。
逆にさらに値下がりした場合、電気代を捻出することもできません。ビットコイン相場は一ヵ月で200万円 (40%) 以上の変動があります。
投資と呼ぶにはふさわしくありません。
仮想通貨マイニング想定外のリスク 【まとめ】
マイニングを実際にやってみて以下の重大な5つのリスクが分かりました。私が一番のリスクだと感じたのは、セキュリティリスクです。趣味がてらにビットコインの収集をする気持ちであれば、収益度外視での運用はアリだと感じました。しかし運用中にネットワーク内のファイルサーバーへ攻撃をされるリスクを考えると、断念せざるを得ない気持ちになりました。
・電気代値上がりのリスク
・グラフィックボード運用中の故障リスク
・データ漏洩・ハッキング等のセキュリティリスク
・運用中の火災リスク